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【退院後の日常生活をイメージでき、在宅復帰のためにすべきこと】
2024.4.23

皆さんこんにちは!ライフサポートチームの長谷川です。今回は退院後の生活を安全に送る為の準備についてお話ししたいと思います。病気や事故などで入院となり、身体が悪くなられて入院前と同じ生活ができなくなってしまうのはかなり不安を感じてしまいますよね。退院後、ご自宅での生活(室内の移動やトイレ、お風呂など)を安全に行えるようにするためには退院前からいろいろと準備が必要になってきますので、今回は最近の事例からご案内したいと思います。

福祉用具を使った生活のシミュレーション

今回は都内にありますリハビリテーション病院から退院予定の方の相談をお受けし、退院までの準備をお手伝いした事例についてご紹介させて頂きます。ご相談をお受けしたのは退院予定の2か月前の段階でした。ご本人様は脊髄損傷による下肢麻痺があり自立歩行ができない状態で急性期病院よりリハビリテーションへ転院し、在宅復帰のためのリハビリを続けているご状況でした。この時点ではご本人様はご自宅に戻った後の生活がイメージできておらず、退院予定日も迫ってきていたので、いろいろとご不安だったとおもいます。

今回の事例の退院までのスケジュールは以下のとおりでした。

【退院までのスケジュール】

①住宅環境調査

在宅復帰の為の準備は、相談をお受けした時点でのご本人様の身体状況や病院の担当機能訓練士からの評価を確認させて頂く事から始まります。その上で、ご本人様(一時帰宅)とご家族様、病院の機能訓練士、在宅復帰後に受ける予定の在宅サービス担当者などが実際にご自宅へ集まり、住宅環境をご本人とご家族様の意向などを確認させて頂いた上で、どのような介助や訓練が必要かを話し合います。住宅環境調査の際、私ども福祉用具担当は病院の機能訓練士と共にご本人様・ご家族様より実際の生活の事を確認させて頂きながら、この場所での動作にはどのような福祉用具が必要かなどを提案させて頂きます。今回は事前に病院の機能訓練士と打ち合わせを行なった中で、ある程度必要な福祉用具が想定できていたため、当日に実機を持参しました。そして口頭だけでご提案するのではなく、ご本人様の体の動きや住宅環境に合わせて福祉用具を設置・調整した上で実際にお試し頂くことができました。ご本人様・ご家族様も実際の福祉用具を試したことで退院後の生活がイメージでき、不安感を軽減できたようです。

玄関上がりかまちの高さ確認

生活動線の確認

浴室環境の確認

現場では他、直に住宅環境やご本人様の身体の動きを見る事で、想定していなかった問題点や課題点がわかってきます。今回の事例では玄関入口と上がりかまちが直線の動線になっていないため、通常のあがりかまち用両用手すりでは内側の手すりが入室の妨げになってしまうことが判明しました。また、玄関上がりかまちの段差が想定していたより高かったため、踏み台が必要なことやご本人様の昇降動作や靴の着脱動作について確認できたことが成果でした。

②住宅環境調査後のご本人様・ご家族様の意向確認

住宅環境調査の際の確認や各種提案、福祉用具を実際にお試し頂くまではご本人様もご家族様も「何ができる」、「何ができない」もわからない状況でしたが、調査後は「できる」、「できない」がはっきりし、退院後の生活がイメージしやすくなってきたため、諦めていた事にもチャレンジできる可能性が出てきます。この時点でご本人様やご家族様のご意向を確認していきます。

➂住宅環境調査後のリハビリ強化や修正、福祉用具の追加や再選定

住宅環境調査後、「トイレにはひとり行けるようになりたい」などの目標があれば、調査当日のご本人様の身体の動きを考慮し最適な福祉用具を再選定をおこないます。そして病院の方では退院までの期間に実際のご自宅のトイレでの動きを考慮したリハビリ強化・修正、評価をおこなうことができます。

今回の事例では住宅環境調査の後に、外出用に電動車いすを検討したいとのご要望がでてまいりましたので、すぐに電動車いすを病院へ持ち込み、車椅子への立ち座り動作や運転動作の確認・評価をして頂くことになりました。初回の調査では確認してないことでしたので、再度ご自宅での調査が必要となり、改めてご本人様・ご家族様立ち会いの下、安全にご自宅で電動車いすを利用できるかを確認してまいりました。退院までの期間はその都度、確認・調査や病院の機能訓練士等と連携しながら、福祉用具を確定してまいります。

手すり位置の確認・調整

電動車いすの試乗

④福祉用具の最終確認

福祉用具が確定したあとはご退院前にご自宅に搬入・設置をさせていただきます。退院までは病院の機能訓練士と連携し、準備をおこなってきましたが、今回の事例では当初より在宅復帰後に訪問リハビリのサービスが入る予定になっていたため、退院後は訪問リハビリの機能訓練士と連携して生活の中での使用状況を確認しながら、調整や用具の入れ替えなどをおこなっていきました。今回はリハビリテーション病院からのご依頼ということで退院までの猶予期間があった事や2度の住宅環境調査で病院の機能訓練士や訪問リハビリの機能訓練士とも連携を図る事でき、実生活に合わせた退院準備をすることができました。

退院後の生活の不安を多職種連携で解消!

通常の急性期病院からの退院の場合では今回の事例より準備期間が短くなってしまいますが、病院の相談室や機能訓練士、ケアマネージャーなど在宅介護サービスとの連携を図ることでご利用者様が安全に在宅生活が送れるよう住宅環境を整えてまいります。お気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人 長谷川幸司
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元旅行会社にて航空券予約や営業を担当。亡父がパーキンソン病を発症し、介護ベッド等の福祉用具貸与サービスを利用。福祉用具を利用する事で出来なくなった事が出来る様になり、介助者の負担軽減できる事に感銘し、この業界に転職。他界した両親に親孝行をしきれなかった分、ご利用者様の手助けをしていきたいと思っています!
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