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アップライドが考える『在宅での福祉用具定着支援』

佐藤光央

掲載:

みなさん、こんにちは!
アップライド福祉用具専門相談員佐藤です。
今回は前回の記事『介護リフトの定着支援』に続き、在宅での福祉用具の定着支援について私たちアップライドが考える取り組みをお話できればと思います。

アップライドが考える「3つの適合」を軸とした選定と調整

私たちアップライドは定着を実現するために、単にスペックを満たすだけでなく、多角的な視点からの「適合(フィッティング)」が不可欠と考えます。
そこで多職種と緊密な連携を図りながら、以下の3つの適合を中心とした選定と調整を行います。

① 利用者様の身体状況・生活との適合
利用者様の身体機能(筋力、関節可動域、認知機能など)に正確に合致しているかを第一に考え選定を行います。
理学療法士や作業療法士の方のアセスメントに基づき、現在の能力を最大限に引き出しつつ、不足している機能を過不足なく補完する用具を考えます。
さらに重要なのが「生活との適合」です。
つまり、利用者様がその用具を使って「何をしたいのか(トイレに一人で行きたい、庭の手入れをしたい等)」という生活上の目標(活動と参加)に合致している必要があります。
そこで私たちは、ご本人が長年培ってきた生活習慣や心理的な受容度(「まだ杖や車いすには頼りたくない」などの感情)にも配慮し、段階的な導入やデザイン性の高い用具の提案など、ご本人の意欲を引き出す工夫を考えながら相談し選定を行います。

② 住環境との適合
日本の住宅事情において、住環境と福祉用具のミスマッチは定着を妨げる大きな要因です。
どれほど身体に適合した車いすでも、廊下の幅や扉の開口部を通過できなかったり、玄関の段差を越えられなければ生活空間で使用することはできません。
だからこそ福祉用具専門相談員は、家屋内の段差、床の材質(畳かフローリングか)、家具の配置、そして生活動線を詳細に確認します。そこで必要に応じて住宅改修(手すりの設置や段差解消)と福祉用具を組み合わせ、家屋全体として安全で円滑な移動・動作が可能になるよう環境を総合的に整えます。

③ 介助者との適合
見落とされがちですが、介助者との適合も極めて重要です。
在宅介護では、高齢の配偶者が介助を担う「老老介護」や、仕事と介護を両立する家族が少なくありません。
導入される福祉用具(例えば介護ベッド、床走行式リフト、スライディングボードなど)が、介助者にとって直感的に分かりやすく、身体的負担(腰痛など)を確実に軽減するものでなければ、かえって手間が増えたと感じられ、結局は使われなくなります。
介助者の体力、体格、介護に割ける時間、機器への抵抗感を評価し、介助者が無理なく安全に操作できる用具を選定し、丁寧なサポートを繰り返すことが不可欠です。

ケアチームの共通マインドセットで、定着のプロセスに併走

福祉用具の定着支援の基盤となるのは、関わる専門職全体—ケアマネジャー、理学療法士、作業療法士、看護師、介護職、そして福祉用具専門相談員—による「ケアチーム」の共通のマインドセットです。
それは、「用具を貸与・販売すること」が目的ではなく、「用具を通じて利用者がどのような生活を実現したいのか」を追求する姿勢です。
利用者様の自立支援や尊厳の保持を第一に考え、それぞれの専門性を持ち寄りながらも、職種の垣根を越えて対等に意見を交わす関係性が求められます。
また、「プロが選んだのだから間違いない」という一方的な押し付けではなく、利用者本人や家族の価値観、不安、希望に徹底的に耳を傾け、彼ら自身が納得して用具を受け入れられるよう支援する「伴走者」としての意識を持つことが、定着への第一歩となります。

また、一人の専門職の視点だけでは限界があります。
導入前の段階からケアマネジャーを中心にサービス担当者会議等を活用し、情報を共有します。
例えば、理学療法士が身体的な適合を評価し、看護師が医療的リスク(皮膚の脆弱性による褥瘡リスクや呼吸状態)を助言し、福祉用具専門相談員が具体的な機器の提案と住環境への適応をシミュレーションします。そして日々の様子を最もよく知るホームヘルパーや家族からのフィードバックを統合することで、初めて机上の空論ではない「真の適合」を目指す選定が可能となります。

モニタリングと反復的な微調整による「定着」の実現

福祉用具の導入は、ゴールではなくスタートに過ぎません。
生活という動的な環境の中では、実際に使ってみて初めて明らかになる不都合や、心理的なハードルが必ず存在します。だからこそ、導入後の継続的な「モニタリング」が定着の真の鍵を握ります。
初期段階では、利用者様が使い方に戸惑っていないか、介助者が負担を感じていないかを密に確認します。
「車いすのフットサポートの高さが数センチずれているだけで姿勢が崩れる」「歩行器のブレーキが少し硬い」「ベッドの配置を変えたら動線が悪くなった」といった小さな違和感を放置せず、現場で即座に微調整を行うことが重要です。

また、より中長期的(年単位)なモニタリングも欠かせません。
リハビリテーションの成果により身体機能が向上し、より身軽な用具へ移行できる場合もあれば、加齢や疾病の進行により身体機能が低下し、よりサポート力の強い用具へ変更する必要が生じる場合もあります。
さらには、季節の変化(冬場の厚着による動きにくさなど)や家族の就労状況の変化など、生活環境の変化にも即座に対応しなければなりません。
このように、モニタリングを通じて得られた気づきを再びケアチーム全体で共有し、用具の高さや角度の微調整、あるいは機種の変更や付属品の追加といった見直しを「経過や変化に合わせて繰り返し行い続ける」こと。この継続的なPDCAサイクルの実践こそが、単なる「便利な道具」であった福祉用具を、利用者の身体の一部であり、生活を支えるインフラとして「定着」させる唯一のプロセスなのです。

現場で感じたこと

ここで私が実際に在宅で住環境から福祉用具(リフト・ベッド・車椅子)の導入まで行った利用者様の事例を紹介させていただきます。

その方は70代の女性でご主人と2人でマンション暮らし。脳梗塞で入院されて後遺症で左半身麻痺が残っている方でした。
まずケアマネージャーと理学療法士、私、ご主人の4人で病院に行きアセスメントをさせていただきました。退院前の状態はおむつ対応で、移乗は全介助で基本はベッド上での生活との事でした。ご主人の希望はできる限り移乗して車椅子上で生活しベッド上にはあまりいてほしくないとの事でした。

私たちケアチームはまずマンションの住環境の確認をしリフト、ベッドの設置スペースや、車椅子の取り回しの確認をさせていただきました。
車椅子は座位での生活が安全に行えるように姿勢調整ができるモジュラー型の車椅子を選定させていただき、リフトはご主人が1人で移乗できるように奥様の退院前から操作練習をさせていただきました。

退院後は入院中とは変わり基本車椅子上での生活になり、ご主人のリフト移乗で車椅子に移乗して2人で散歩や買い物に行かれております。リハビリの効果もあり現在では立位保持も装具をつけて行えるようになってきています。
今の2人の目標はリフト移乗を卒業することです。
担当者会議やモニタリング時の聞き取りをチームで共有し引き続きチームケア行っていければと思います。

 

福祉用具の定着支援とは、一度の最適な選定で完了するものではなく、変わりゆく利用者の身体と生活に寄り添い続ける継続的なプロセスです。
ケアチームが「利用者のより良い生活の実現」という共通のマインドセットを持ち、3つの適合(身体・生活、住環境、介助者)を常に評価し、密な連携を図ること。そして、細やかなモニタリングと妥協のない微調整・変更を反復し続けること。
この地道な関わりの積み重ねが、福祉用具の定着支援に繋がると信じて私たちは仕事をして行こうと思います。

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執筆者

佐藤光央

元老人保健施設介護職員 有料老人ホーム相談員として勤務
有料老人ホームに勤務中、施設に来ていた福祉用具相談員の方と話をしてこの仕事をしり、日々用具の事を学びながら、お客様と相談しながら適した用具を仕立てられるように頑張ります。

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