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全国35施設が集った、初のSOEL COMMUNITYミーティングレポート
2023.10.04

去る8月30日、記念すべきSOEL COMMUNITYの初回ミーティングが開催されました。「SOEL COMMUNITYって、なに?」そうお思いの方もまだまだ多いと思いますが、これは弊社の関連会社にして、日本発の次世代型介護リフト「SOEL®︎」のメーカーであるJCLS(日本ケアリフトサービス株式会社)が主宰するユーザーの集い。でも、ただのユーザー会とひと味違っているのは、参加事業者同士がお互いに悩みや成功体験を共有しながら学び合える、相互成長の場であることです。もちろん私たちアップライドも、この活動に並走してゆきます。では早速、SOEL COMMUNITYの初ミーティングを振り返り、レポートをお届けしましょう。

「つながりの力」を生かして、ノーリフティングケアの推進へ

持続可能な介護を考える時、「ノーリフティングケア」は選択肢の一つというよりは、すでに「避けては通れない道」です。それでも、「介護リフト活用に職員の理解が得られない」「高いお金をかけて、費用対効果が得られるのか心配」などなど、施設の方々の前には、いくつもの壁が立ちはだかっているのも事実。

そんなジレンマを少しでも解消し、ノーリフティングケアを推進していくために必要なのは「つながりの力」です。JCLSの代表・高橋恒治は、数年前からそう考えて解決策を模索してきましたが、コロナ禍によってオンラインの可能性が広がったことも追い風になり、今年6月に会の発足を宣言するに至りました。

記念すべき第1回目のミーティングはオンライン開催のみではありましたが、全国35施設から参加者が集い、介護のポジティブな未来を感じさせる、熱のこもった会となりました。この日の目玉は、「ノーリフティングケア」や現場の労働環境改善で成果を上げておられる施設関係者による実例発表。実際の事例・データを交えて語られるお話は、説得力ばつぐんです。

【事例1】ノーリフティングケア実践8年で重度拘縮が27名から3名へ?!

トップバッターは、社会福祉法人平元会 特別養護老人ホーム正寿園(青森県)で、機能訓練指導員を務める丸山 拓郎さん。同ホームは、2015年からリフトやモジュール車いすを活用し、「尊厳保持」「適切な離床」「自立支援」の3点をテーマに、ノーリフティングケアに取り組んできました。

その8年間の結果として
●重度拘縮を抱えた利用者が、27名から3名に減少
食事介助の必要な利用者が、16名から6名に減少
など、重度者のケアに悩む施設にとっては発見に満ちた内容となっています。

その成功の背景には、徹底した個別化で「筋緊張の緩和」や「適切な座位保持」に取り組んできた蓄積があります。「日本は、抱え上げたり、引きずったりする間違ったケアで寝たきりの重度者を増やしています。今改めて”廃用症候群は回復可能である”という教育を徹底しなくては」という丸山さんの言葉が印象的でした。

【事例2】介護リフトやロボットの導入は、施設経営やブランディングにも貢献度大!

続いて、同じく社会福祉法人平元会 特別養護老人ホーム正寿園で副園長を務める中田 太さんがご登壇。丸山さんとは少し視点を変え、施設経営の側面からノーリフティングケアのメリットをお話しくださいました。

中田さんは「介護業界のCS(顧客満足度)とES(従業員満足度)を上げる鍵は福祉用具とロボットの導入にある」として、それらがもたらすメリットに「職員の定着」「質の高いケアの提供」「学生や地域の方との交流活性化」などを挙げられました。実際に、同施設は第1回全国老人福祉施設大会研究会議(JSフェスティバルin栃木)分科会実践研究発表にて「最優秀賞」を受賞。こうして、施設のブランド力・信頼性を着実に高めた同施設は、ノーリフティングケア(リフト+スリングシートやモジュール型車いすなど)導入にかけた約3000万円の投資を、4年で回収ができたとのことです。

中田さんが力説したのは、施設トップと現場をつなぐ「No.2の存在」。早く結果を出してほしい上層部と、定着に時間をかけたい現場とのギャップを埋める人材です。その理解浸透のプロセスに「特効薬はない」とし「嫌われる勇気も必要」と語った中田さん。「質の高いケアによって利用者の心身状況が改善していく様子を見ることが、職員にとって一番の成功体験であり、それを地道に積み重ねていくしかないと話していました。

【事例3】アメリカ発のセーフティケア概念とMalposMajorで労働環境改善へ

最後に登壇されたのは、社会福祉法人喜寿会 特別養護老人ホーム 七美ことぶき苑(富山県)で副主任兼腰痛予防プロジェクトリーダーを務める結城大介さん。同施設では2017年に腰痛予防プロジェクトを始動させるまでは、人力で抱え上げる介護を行っており、姿勢に対する意識が低かったとのことです。

それを変えたきっかけの一つが、アメリカ生まれのSPH(Safe Patient Handling)というセーフティケアの概念との出会い。これは、利用者と職員の双方にとって安心安全で楽な介護を行うことを目指す基準です。同施設はこれにのっとって、介護リフトをはじめとする福祉機器・用具を積極的に取り入れ、施設内実技試験や介護リフトの「使用許可試験」も実施するなど、職員のスキル向上と安全教育に取り組んできました。

同施設がプロジェクトの中で活用したのが、腰痛リスクを数値化・可視化するJCLSのMalposMajor(マルポスメジャー)。「リフトや介護ロボットを導入しただけで腰痛がなくなるわけではない」と考えた結城さんは、機器による腰痛リスク計測と合わせて、手足腰を正しく使う介助姿勢指導を徹底。その結果、2017年と比べると、職員の腰痛有訴者率は、42.1%から20%に減少したとのことです。同施設が積み重ねてきた努力は、富山県「がんばる介護事業所表彰」4期連続受という成果となって表れています。

会員同士が施設を訪問しあい、交流できるようなコミュニティに

お三方のレクチャーのあとは、オンライン越しに質疑応答も活発に行われ、ご参加された方々の熱心さが伝わってきました。閉会後に寄せられたアンケートでは、内容への満足度90.4%(「非常に満足」「やや満足」という回答数を合計)という結果となり、次回への期待も高まっています。

私たちアップライドチームもオンラインで参加しました。

まだ始まったばかりのSOEL COMMUNITYですが、目指す理想は、会員同士が施設を訪問しあい、交流できるようなコミュニティ。ご興味を持たれた方は、ぜひこちらのご案内をお読みいただき、入会申込フォームからお手続きください。

次回開催告知

▶第2回 SOEL COMMUNITY ミーティング / リアル & オンライン開催
日時:2023年11月22日(水)13:30~17:30(予定)
開催:リアル会場 [ 虎ノ門グローバルスクエア・コンファレンス ]
   東京都港区虎ノ門 1-3-1 東京虎ノ門グローバルスクエア4階
   オンライン [ Zoom ウェビナー ]オンラインは16:45まで
定員:リアル会場 50名 (体験会あり)/ オンライン 100名(予定)

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この記事を書いた人 UPRIDE編集部
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