皆さんこんにちは!
トランスファーサポートチームの栗原です。
今年は自分の体調を素直に認めて花粉症の薬を処方して頂きました。
・・・もっと早く行けば良かったと後悔している今日このごろです(;´Д`)
色んな花が咲き出すこの時期を素直に喜べるよう、来年から早く病院に行こうと心に決めました。
さて、先程の「色々な花」にちなんで、弊社アップライド株式会社が提供する介護リフトのトライアルサービス「サザンカ」をご紹介します。
このサービスは、3ヶ月×3台の介護リフトのお試し利用を通じて、一人でも多くの方々に介護リフトの利便性を体感していただき、導入を検討していただくことを目的としています。
ちなみに、「サザンカ」の花言葉は『困難に打ち勝つ』であり、弊社が介護リフトが中々広がらない世の中に変化をもたらしたいという思いと重なり、ネーミングに採用されました。
今回はこの「サザンカ」に加えて、「ハジメの一歩」という2つのサービスを実際にご体験頂いた『湯河原ゆうゆうの里』 様の事例を交えながらご紹介していきたいと思います。
目次
1.サザンカの『花が咲く』と何が起きる?
2.ノーリフティングケアの『種を蒔く』~ハジメの一歩~
3.事例紹介
4.まとめ
1.サザンカの『花が咲く』と何が起きる?
「サザンカ」は、発案からサービスが整うまで4年以上を要しました。
私は前職時代、介護ショップで働いていた頃、朝日専務と一緒に特別養護老人ホーム「うきま幸朋苑」様に介護リフトを導入するためにデータを提出する必要がありました。
そのため、5台の介護リフトを半年間デモ機として貸し出し、代わりに施設内のデータを共有してその効果を検証しました。
このプロジェクトが「サザンカ」のプロトタイプとなったのです。
このプロジェクトを通じて分かったことは、『職員の方が介護リフトを自分たちの仕事に取り入れるプロセスに寄り添う取り組み』こそが求められているということでした。
その後、私がアップライドに転職したことを契機に、朝日専務とともに本格的なサービス化に取り組み、サザンカが誕生しました。
なぜ介護リフトが現場に広がらないのでしょうか?
答えは『介護リフトが(介助者の)身近にないから』です。
身近にないから『分からない』『怖い』『めんどくさい』という感想が出てきますが、これらは身近になるとなくなる感想です。
まさしく卵が先か、鶏が先かの話になってくるのです。
『身近になれば介護リフトは広がる』、つまり、介護リフトを使うことが文化になればもっと広がるという結論になります。
では、どうやって身近にするか、という話になります。
ここで重要なのは2つの軸、時間軸と場面軸です。
・時間軸:利用者・介助者の双方が介護リフトに慣れる期間
・場面軸:居室・浴室・トイレなど生活の連動性
福祉用具は命にかかわる道具のため、訓練が必須です。
しかし、福祉用具は試した瞬間に100%の成果が出ないと悪い道具と評価されやすい特性があります。
この認識のズレが結果として、『道具を活用するケアよりも人の手によるケアのほうが良い』という誤解を生んでしまうことがあります。
このズレを埋めるためには、誰が、どのような場面で、どのくらいの頻度で福祉用具を活用するかを導入前にプランニングすることが重要となります。
このプランニングから慣れるまでの期間を私は『訓練期』と称し、どうやって乗り越えるかを常にユーザーの皆様に問いかけています。
この訓練期を乗り越えれば、『介護リフトは身近なもの』となります。
つまり、サザンカの花が開くと何が起きるのか?
それは『利用者・介助者の双方にとって気づけば介護リフトが生活の一部になっている』という変化が起きるのです。
2.ノーリフティングケアの『種を蒔く』~ハジメの一歩~
とはいえ、「サザンカ」はあくまで介護リフトのトライアルサービスになります。
そのため、利用者と介助者の双方にとって負担が少ないケアを導入しようと思っていても、介護リフトはまだいいかなぁ・・・という方も多いかと思います。
「ハジメの一歩」は、そのような皆様へのご提案は今の労働環境の現状と課題を見える化しませんか?というものです。
サービスの詳細は前述の朝日専務の執筆記事をごらんください。
簡単にご紹介すると、以下の2つのステップになります。
①職員の方にWEBアンケートに答えて頂く
②マルポスメジャーを用いた腰痛リスクを計測する(5名分)
アンケートに回答していただくことで、皆様の「身体リスク」「ストレスリスク」「危険度リスク」の3つがデータ化されます。
これらのデータや介助場面など、さまざまなデータを分析することで、潜在的なリスクに気づくことができます。
また、職員の不良姿勢や動作の危険因子を可視化するためには、マルポスメジャーによる計測が行われます。
マルポスメジャーは、装着中の前傾回数や時間、ひねりの回数や時間を測定することができます。
これらの結果と介護日誌を照らし合わせることで、どの介助場面が腰痛リスクの高い不良姿勢を誘発するのかが分かるようになります。
この2つの測定で可視化されたデータから課題を特定し、「どの場面の負担を軽減するために何をするか」を打ち合わせます。
「ハジメの一歩」から導き出された課題に対して取り組むことは、大きく分けて2つあります。
①職員の動作の見直し
②労働環境の見直し
つまりは、ノーリフティングケアに基づいた労働安全衛生マネジメントの導入となります。
ただし、「ハジメの一歩」だけでは原因の解消にはなりません。
あくまでノーリフティングケアの『種を蒔く』ための課題の可視化サービスであり、本当に重要なのは、明らかになった課題に対して、何をするか、ということです。
この何をするか?の部分で「サザンカ」を試して頂き、ノーリフティングケアの『花が咲く』ように皆様に寄り添える企業でありたいと考えております。
3.事例紹介
今回は『ハジメの一歩』から『サザンカ』を経て、まさに今、介護リフトの導入を検討していただいている介護付き有料老人ホーム『湯河原ゆうゆうの里』様の事例をご紹介します。
2021年度のケアテックス東京へご来場いただいたのをきっかけに、施設の労働環境に関する調査のご依頼があり、当時はまだ仮名でしたが、ハジメの一歩にて調査を行うことになりました。
2022年8月に施設を訪問して、サービスの概要のご説明と計画の打ち合わせを行い、9月にアンケート調査を行いました。
アンケートの結果を分析したところ、特に浴室内での介助について職員間で危険の認識にズレがあることが分かりました。
このズレがあると課題解決の話し合いのスタートラインがズレるため、なぜこのズレが発生しているのかを確認する必要が出てきました。
次に、日常業務におけるケアの職員の負担を『マルポスメジャー』で計測しました。
先のアンケート結果を基に5名の方を選出して計測した結果、やはり個人差が大きく現れました。
中には8時間の勤務時間で前屈動作を1,600回、ひねりを2,000回以上行っている職員の方もいらっしゃいました!
たとえ重いものを持ち上げたりしなくても、毎日の動作でこの回数動かしていたら疲れが溜まって当然です。
すべての場面での改善は難しくても、どこか変えるところはないか? その視点で最初に着目したのが、先のアンケートに出ていた浴室の介助です。
マルポスメジャーでは時間軸と回数の累積はできますが、職員の方が何を行っていたかまでは表示できません。
そこで、介護日報を頂くことで反応が高い時間帯に何をしていたか?という照らし合わせができるようになります。
すると、やはり浴室のケアにあたる時間帯が強く反応を示していました。
分析して見ると特にケアの終わりの時間にひねりの回数が増えていることが分かりました。
みなさんはケアの終わりに何をしますでしょうか?
そうです、特殊浴槽の掃除の時間にひねりの動作を多く行っていた、ということがわかったのです。
腰痛予防の取り組みとして、介助中の不良姿勢の改善は皆さん取り組まれていると思います。
しかし、意外と掃除や物を運ぶなどの日常動作の不良姿勢まで意識していないケースは多いのではないでしょうか?
今回の湯河原ゆうゆうの里様の皆さんも同様で、掃除用のモップがワンサイズしかなく、女性にちょうどいいけれども男性職員には短かったなどが分かりました。
この場合は単にモップの長さが違うものを導入すれば解決できます。
また、特殊浴槽の掃除も意識をすれば対策をすることはそこまで難しくありません。
このように、日常動作の中にも改善できる動作はたくさんあります。
前屈・ひねり動作が最も多かった方は報告会のときに同席されており、上記のことを直接お伝えする形になりました。
実は同席に気づいていなかったため、忖度なくかなりはっきり伝えてしまい、内心ヒヤッとしていました(;´Д`)
その後、3月にもう一度同じ流れで「ハジメの一歩」の計測を行いました。
すると、上記の同じ方の結果に驚くべき変化が起きました。
それは、前屈の回数とひねりの回数が大幅に下がったことです。
初回の計測では前屈が1,661回、ひねりが2,163回でしたが、3月の計測では前屈が1,015回、ひねりが1,012回にまで減少しました。
データを見ると、日常的なアクション全般において回数が減少しているため、この結果は1つのアクションによって生まれたものではないと考えます。
上記のような課題を可視化し、自分たちの身体にどのような負荷がかかっているかを自覚することで、日々の取り組みを改善しようという意識がこの結果につながったのだと思います。
4.まとめ
「湯河原ゆうゆうの里」様は、初回の「ハジメの一歩」の結果、浴室(脱衣場を含む)と居室の移乗介助において職員の不安や負担が集中していることが分かりました。
そのため、介護リフトを導入して環境改善を行うことになり、3月に再計測を行いBefore&Afterのデータを比較することが最終目標となりました。
最初の依頼では介護リフトの導入は考慮されておらず、調査のみが依頼されたところからこの事例は始まりました。
しかし、課題を明確にし、職員間で意識を共有することで、環境改善の必要性に気付き、「サザンカ」の導入に繋がりました。
3ヶ月が経過する中で職員の方が使い続けられる機種が見えてきており、本格導入を検討していただいております。
この事例で職員が改善を意識できたのは、個人の取り組みだけが原因ではなく、組織からの『職員の負担軽減』や『利用者により良いケアを提供したい』というメッセージが、「ハジメの一歩」や「サザンカ」の取り組みを通じて職員に届いたからです。
利用者や介護現場に携わる皆様の身体的・精神的・金銭的な負担を少なくするために、介護リフトを含めた福祉用具の活用は必須だと私たちは考えています。
私たちの「サザンカ」や「ハジメの一歩」などのサービスをご活用頂き、皆様の労働環境の改善や、利用者の重度化予防ケアにつながれば幸いです。