みなさん、こんにちは!アップライド福祉用具専門相談員佐藤です。
前回は介護保険でレンタルの段差解消機をご紹介しましたが、今回は障がい福祉サービス(日常生活用具給付)制度を使っての段差解消機ご購入事例です。リハビリ病院に入院されていたお客様から、退院後に必要な車いすと段差解消機についてご相談を受けたのですが、その背景にはいつもと少し違う複雑ないきさつがありました。今回はそのお話を、前篇・後篇2回に分けてお伝えできればと思います。
段差解消機の設置に必要な現地調査ができない!さあどうしよう!
今回のお客様は脊髄損傷で入院中の50代の男性です。病院のソーシャルワーカーの方からの相談で担当させていただくことになりました。
現在も入院中ですが、退院に向けた用具の相談として、車いすで自宅に出入りできるように段差解消機を設置したいとの事でした。本来であればすぐにでも家屋調査に訪問させていただきたいところですが、ご自宅をバリアフリー仕様にリフォーム中のため、訪問まで時間がかかるとの事でした。
図面と現地調査で最適なものを選定
ソーシャルワーカーの方から現在ご自宅リフォーム中と聞き、家屋調査が無くても大丈夫な用具の選定と、ご自宅で使う電動車いすの試乗を先に進めることにしました。
ご本人は血圧の変動が激しく、ティルトリクライニング(背もたれだけでなく座面の角度も変えられる機能)は必須でした。ご家族の介助もありますが、退院後は社会復帰し仕事を再開したいとの希望があり、電動ティルトリクライニングの車いすを選定しました。
院内にてリハビリの先生の評価のもと、試乗をしていたのですが、退院まで2か月を切っている状態で車いすは退院までに納品が間に合わないため、納品を待つ間は代替品として、自走式の手動ティルトリクライニングの電動車いすで生活していただくことになりました。そこでご本人より「この車いす段差解消機に乗るかなと?」とご相談がありました。実はもともとご自宅のリフォームと一緒に、段差解消機をご本人が注文して設置する予定だったのです。ですが、ご本人が車いすの試乗をしている間にこのサイズの車いすが注文しようとしている段差解消機で取り回しができるか不安になったようでした。ですが、ご自宅の環境を確認しようにもリフォーム中でまだ見に行くことが出来ません。
そこで、現在のリフォームの図面と、注文予定の段差解消機の図面、車いすのサイズを比べてこちらで取り回しを計算させていただきました。すると注文予定の段差解消機では現状車いすの取り回しはできなくはないが、ほぼ難しいという結論が出ました。問題の段差解消機は、ご本人がネットで探して選ばれたものでした。設置場所と想定していたのが玄関前の階段と駐車場の間にある狭いスペースだったため、そこのサイズに合わせてできる限りコンパクトなものを注文しようと考えられたようです。しかしこのままでは車いすの取り回しが困難であることがわかり、正式に弊社に依頼が来ました。そこでリフォーム工事が終わる夕方以降の時間で現地調査をさせていただく許可を得て、ご自宅へと向かいました。
なぜ、急ぐ必要があるかというと障がいの制度を使っての購入のため、退院後申請に2から3か月、納品に2か月弱かかるからです。退院後、できるだけ早く納品できるように入院中でもできることとしてご自宅の確認、新しい図面の作成、ご本人との打ち合わせがあります。そしてご本人に金額の説明は必須です。あくまでも制度を使うため、確定金額ではありませんがおおよその金額は伝える必要があると思います。ご自宅の調査から申請、納品まで出来る限り迅速に動くことが大切です。今は便利な時代でネットで福祉用具は探せますが、一度ご相談をいただけるとありがたいなと思います。次回は自宅での取り回しの確認から納品までを書けたらと思います。