こんにちは、アップライドマガジン編集部の髙木です。
私は日常業務として、介護保険制度に基づき、福祉用具貸与や販売などを行っています。
元々費用負担が重くなりがちな福祉用具も介護保険制度を利用することで費用負担が減り、住み慣れた場所で安心して生活を継続するための、とてもとても大切な制度だと考えています。
その過程で、身体状況や介護環境の変化など様々な事情があり、在宅生活が困難となった場合、施設への入所を検討される方も出てくるのではないでしょうか?
今回は、施設入所後の福祉用具のことについて触れてみようと思います。
えっ!!福祉用具レンタルに介護保険は使えないの??
施設は役割やご利用者様の状態などに応じて、細かく区分けがされています。
「特別養護老人ホーム」「介護老人保健施設」「介護療養型医療施設」「グループホーム」
「有料老人ホーム(介護付、住宅型など)」「サービス付き高齢者向け住宅」「養護老人ホーム」
「軽費老人ホーム」などがこれにあたります。
有料老人ホーム(住宅型)や軽費老人ホームなど、介護保険を利用しての福祉用具貸与が可能な施設もありますが、すべての施設で介護保険サービスの利用が可能というわけではないのです。
(詳しくは、入所される施設にご確認してみてください)
そのため、今まで介護保険サービスを利用し、1割~3割の費用負担で在宅生活をされてきた場合、施設入所後は10割の費用負担となるため、その金額に驚かれる方も多いかもしれません。
よ~し、それなら買っちゃおう!・・でも・・・。
例えば、車椅子を介護保険制度の在宅サービスを利用して、毎月500円の費用負担で借りていた方が、急に毎月5,000円の費用負担に変わってしまうということが発生するわけです。
仮にその車椅子が100,000円のものだとすると、20か月(5,000円×20か月=100,000円)借りて利用すると購入金額の100,000円と釣り合うのでは?というごく自然な疑問が出てくるのです。
そのため、私のところへ頂くご相談の第一報としては、「〇〇を購入したいので価格をしりたいです、御見積書をください」といった内容が多くなります。
その際、私達「福祉用具専門相談員」はどんなことを考えているのでしょうか。
私たち「福祉用具専門相談員」が大切に考えている(考えたい)こと
私たち福祉用具専門相談員は、
・動作の安楽性はどうだろう?
・廃用症候群(病気やけがによる長期間安静・運動量低下が、心身の不具合をもたらすこと)や床ずれなどの二次障害の予防への効果はどうだろう?
・QOL(クオリティ オブ ライフ:ご利用になる方の人生・生活の質)への影響はどうだろう?
・住環境や生活環境への影響はどうだろう?
・ご利用になる方のADL(アクティビティ デイリーリビング:日常の生活動作→起居動作・移乗・移動・食事・更衣・排泄・入浴・整容)への影響はどうだろう?
・医療的な評価はどうだろう?
・介助方法への影響はどうだろう?
・ご本人やご家族の考えはどうだろう?
こんなことを総合的に考えて、福祉用具を選び、ご提案をしています。
また、「買う(購入)」「借りる(レンタル)」という選択肢も併せて考えています。
「買う(購入)」「借りる(レンタル)」それぞれのメリット・デメリット
メリット・デメリットなどと言うと、堅苦しいかもしれません。
それぞれの選択をする際に、ちょっと気にしてみて欲しいことと思ってください。
〇「買う(購入)」メリット
・自分の所有物のため、誰にも気兼ねなく使うことができる。
〇「買う(購入)」デメリット
・身体の状態が変わってしまった際に、新たな福祉用具が必要になるかもしれない。
今まで使ってきた福祉用具の一時保管や廃棄をどうするか、また、新たな機種を購入する場合、さらなる費用負担の発生を考える必要があります。
〇「借りる(レンタル)」メリット
・状態変化による福祉用具の変更が可能。
今まで使ってきた福祉用具は返却するだけで済みます。その時の状態に合わせて、最適な選択が可能です。
〇「借りる(レンタル)」デメリット
・レンタル契約の順守が必要。
レンタル契約を行う福祉用具事業所の契約内容に沿って使う必要性があります。
上記のように、「買う」「借りる」それぞれに、特徴があり、ご利用者様・ご家族様やケアの環境など要素を含めると、選択肢は多岐にわたります。
私たち「福祉用具専門相談員」にできること
今の世の中に福祉用具は、無数と言っても良いくらいに存在します。
おそらく、カタログ1冊に載っているだけでも数えきれないくらいの福祉用具を目にし、初めてご覧になった方は驚かれ、どれが良いのか決めきれないこともあるかもしれません。
そんな多くの福祉用具の中から、ご利用者様やかかわる皆様と相談しながら適した福祉用具を考え、生活に寄り添えるような選択肢をご提示するのが私たち「福祉用具専門相談員」の仕事です。
カタログに載っている寸法や価格だけで決めるのは、ちょっと不安・・・と感じたら、是非お声がけください、一緒に考えてゆきましょう!!