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好きな時に出掛けたい!を可能にする電動車椅子
2021.12.02

こんにちは!ライフサポートチームの長谷川です。
「近距離は歩けるが、長い距離を歩くと疲れてしまう・・・・。」「自宅の周りに坂が多く、坂を上がるのが大変・・・・・」「いつも家族に車椅子を押してもらうのは少し気が引ける・・・・」そんなお悩みを持つ方、少なくありませんよね。今回は脳梗塞により軽度の左片麻痺があるA様より、電動車椅子利用のご相談をお受けした案件についてご紹介させていただきます。電動車椅子とひと口に言っても、今ではその種類もさまざま。その方の身体状況やライフスタイルに合ったモデル選びのご参考になれば幸いです。

家族の介助なしで、好きな時間に出かけたい!

最初にご相談をお受けした時、A様ご本人はまだリハビリテーション病院にご入院中で、在宅生活に戻ってからの生活に必要な環境を整えることが課題でした。ご退院直後は杖を利用して室内を歩かれ、近所の外出にはご用意した歩行器を使用されていましたが、その後A様ご本人のリハビリの頑張りもあって、室内外共に短い距離は自力で歩行できるまでになりました。そうなると、まだ長い距離の移動はむずかしいものの、「できれば家族の介助なしで外出をしたい」とのご希望がA様から出てくることに。そこで、改めてご相談をお受けすることになりました。お話を伺うと、A様はもともと町内会や近所付き合いの集まりなど外出の機会が多い活動的なタイプなのですが、同居のご家族が自営業のため、外出のタイミングとご家族のご都合が合わず、「外出したい時にすぐに出かけられない」とのことでした。さらに、通院されている病院まで2㎞弱の距離があり、自家用車やタクシーでしか行けないという事情もあります。そんな中で、「家族の介助なしで好きな時間に出かけたい」、「自分で買い物に行きたい」、「通院している病院まで自分で行きたい」との声を聴き、そのご希望に沿えるようにとご提案したのが、電動車椅子の中でもいわゆる「電動カートタイプ」と呼ばれるものです。私自身、家にいるより外に出かけるのが好きな方なので、A 様の気持ちはよく理解できます。そのご要望をなんとか叶えてさしあげたい、と考えてのご提案でした。

電動車椅子にもいろいろな種類が・・・

電動車椅子といっても電動カートタイプや自走車椅子タイプなど、いくつか種類がございます。電動車椅子の種類と各タイプの長所・短所を簡単にご紹介させて頂きます。

電動車椅子の種類
電動カートタイプ  
長所:荷物収納有り(買い物に便利)。長距離走行可能。操作方法が簡単。

短所:屋根付き保管場所が必要。バッテリー一体型の為、保管場所にコンセント必要。

自走車椅子タイプ
長所:ご本人が運転でき、折りたたみ可能で、玄関に収納保管可能。小回りが利き屋内でも使用可。折りたたんで車に積み込み可。

短所:操作方法に慣れが必要。折りたたみ状態⇔座れる状態、使用前後の管理が必要。買い物の際にはバッグが必要。

介助タイプ(介助者が操作)
長所:アシスト機能により上り坂・下り坂通行時の介助者の負担軽減が可能。

短所:ご利用者様は運転操作不可。連続走行距離が短い。

    

それでは、今回なぜA様に電動カートタイプをおすすめしたのか、その理由をご説明させていただききたいとおもいます。まず、左片麻痺による身体の動きを考えると、座面までの高さが低い自走車椅子タイプより、地面から座面までの高さがある電動カートタイプの方が立ち座り動作がしやすいと判断しました。
さらに、A様は車やバイクに乗っていた経験があり、電動カートタイプの操作方法の方が運転感覚もつかみやすいと考えました。また連続走行距離が長いため、2km先の病院に出かけたその足で、他の用事を済ますことができるというメリットもあります。買物の荷物を前かごに入れて運べることや、ご自宅アプローチ部分に保管できるスペースがあるのも電動カートタイプをおススメできる要因でした。

電動車椅子の運転って大丈夫?

初めて電動車椅子をお使いになる方は『運転は大丈夫か』、『事故にあうのが心配』などのご心配が出てくると思います。まず、電動車椅子を試してみたいというご利用者様には必ず運転講習を行っていただきます。さらに、ご利用者様が日頃買い物されているスーパーや、銀行、郵便局、通院されている近所の病院などに私自身が同行させていただき、普段の行動範囲を把握して、その移動ルートで注意すべきポイントをご本人と一緒に逐一確認します。
今回ご紹介させて頂きましたA様のご試乗の際も、運転講習をお受けいただいた後、ご自宅からスーパーまでの道を一緒に歩きながら(もちろんA様は電動車椅子)、飛び出しの危険がありそうな十字路がないか、歩道がなく車の交通量が多い道路はないかなど、A様が安全に外出できるように普段の生活圏内を半日かけて確認させていただきました。ご利用者様により住宅状況や周辺環境は異なりますので、この半日の外出同行は電動車椅子を使用されるすべての方にとって非常に重要で、私も毎回気が抜けません。

 

      

歩道がない道路での走行時の注意点や、お店の前に駐車する時の注意点などもお話しさせていただきます。A様は車もバイクの運転経験があるので運転技術自体は問題なかったのですが、自転車に乗っている方から電動車椅子がどう見えているかなどは改めて注意と警戒が必要です。「電動車椅子は歩行者扱い」の観点から、もらい事故に繋がりそうなことなども実際の走行の中で確認しながら試乗していただきました。レンタル開始後は、A様お一人で忙しいご家族に気がねすることなく、ご自身の好きなタイミングで電動車椅子を使って外出し、普段の生活を楽しんでいらっしゃいます。

自分の意志でアクティブに暮らすことで、生活に張り合いを

私自身、過去に電動車椅子を試してみて、これを利用できれば生活範囲も広がり、楽しんで生活を送れると思い、自身の老後は利用しようと思っています。病気により近距離は歩けるけど長い距離は歩けなくなってしまった方や、買物帰りに荷物を持って歩くのが大変になってしまった方が、外出することを我慢したり、ためらってしまうのをどうにかしたいという想いがあります。また、ご病気とまではいかなくても足腰が弱ってしまった方や、昨今ご高齢者の免許返納を促す声が高まる中で、「返納後の移動手段をどうしようか」とお悩みの方も多いと思います。電動車椅子を利用できれば、「安全に・好きな時間に・ご家族に気がねなく」外出することも可能になります。そうやって自分の意志でアクティブに暮らすことは、生活に張り合いをもたらし、ご本人の残存能力を生かすことにもつながるのではないでしょうか。
安全には十分ご注意のうえ、是非使って頂きたい福祉用具です!

 

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この記事を書いた人 長谷川幸司
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元旅行会社にて航空券予約や営業を担当。亡父がパーキンソン病を発症し、介護ベッド等の福祉用具貸与サービスを利用。福祉用具を利用する事で出来なくなった事が出来る様になり、介助者の負担軽減できる事に感銘し、この業界に転職。他界した両親に親孝行をしきれなかった分、ご利用者様の手助けをしていきたいと思っています!
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