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大切なのは暮らしの「目標設定」!置き型手すり設置・現地レポ
2021.9.02

 

こんにちは!ライフサポートチームの髙木です。

今回は、ご相談を受け、福祉用具をご利用頂くことになった、とあるケースのことを書こうと思います。
発端は、最近色々とご相談を頂いているケアマネジャーさんからの1本のお電話・・。
「歩行が不安定で心配な方がいます。介護保険制度を利用するのは初めてなので、色々相談も含めて、ちょっと一緒に訪問してくれませんか?」。

「トイレぐらいは1人で行きたい」その思いに応えるには?

ケアマネジャーさんと一緒に訪問し、ご挨拶、世間話をしながら、今までの生活のこと、ご病気のこと、これからの生活で、もっとこうなりたい!だけど今はこれが辛い!などなどお聞きしたところ、ご家族の不在時にトイレに行こうとして、座り込んでしまい、動けなくなったということが複数回起きているとのこと。ご本人としては、「トイレくらいは迷惑かけずに1人で行きたいな」という気持ちを持ちつつも座り込んでしまい動けなくなってしまうことが心配、ご家族は、できるだけ見守ってあげたいけど、仕事もあるし、外出中にまた何かあったら・・と気を揉んでいるご様子。そこで、ケアマネジャーさんと相談し、寝室からトイレまでを1人で行ける環境を作ることを当面の目標に設定し、整備をすることになりました。

「いつもはどうやっていますか?」行動観察からプランニングへ

何はともあれ、まずは、ご本人がいつもどのようにトイレに行っているのかを確認。これ、結構重要です!

良かれと思って、こちらが考えたところに手すりなどを配置しても、ご本人の生活に沿った環境が整備されないと意味がないのです。ご本人のルート、歩幅、何に触っているか、左右どちらの手を使っているのかなど、できるだけ細かく見るようにしています。それを、ご本人・ご家族、ケアマネジャーさんに、カタログの写真を交えて、私なりのプランと次のステップとして、そのイメージが合っているかどうかを、実機を搬入して確認したいことをご提案。

快く了承して頂き、いざ搬入当日に突入!

搬入は、学生時代の試験当日のよう・・。

いい点取れるかな・・。

答案用紙はこんな感じになりました!

①→ベッド周り

 

所有されている折りたたみベッドには掴まりどころが無く、身体に反動を付けて寝起きをされていたため、起き上がり兼立ち上がり用手すりを設置しました。
立ち上がりやすくするためには、前傾姿勢がとりやすいアーム付きが理想なのですが、横にあるテーブルとの兼ね合いで、今回はアーム無しのタイプを選んでいます。力を掛けても、手すり自体が倒れたりずれたりしにくいように、ベッドに専用の部材を入れているのがポイントです。

②→部屋の掴まりどころのない空間

今までは、棚を手で触れながら移動されていましたが、掴まることができるわけではないため、握って掴まることができる手すりを配置。ご本人が手すりを認知しやすいよう、移動に支障がない範囲で手すりの高さを高めに調整したこと、次の手すりへの移行がしやすいよう、2つの手すりの高さを揃えたことがポイントです。

③→トイレ周り

 

トイレ前とトイレの中の環境です。手すり部分が邪魔にならないよう、ベース部に対し手すりを端に組み替えていること、トイレ内の手すりは肘掛け部分が目立ちやすいよう手前の肘掛けだけ数㎝前方へ出しているところがポイントです。わずかな違いですが、動いてしまう引き戸に手が伸びないようにしたかったのです。

緊張の答え合わせは良好。でも環境整備は、これで終わりじゃない!

その後のご様子をお聞きしに数日後再訪問、緊張・・・。
「転んだり、座り込んだりは、ほとんど無くなったみたい」とご家族。(よ、良かった~・・・(脱力)・・以上高木の気持ち)一旦、「安全に1人でトイレに行く」という目標は達成されました。でも、まだご家族の「安心して仕事がしたい」という気持ちに対しては、少し足りていない部分がありそうです。実は、前回訪問の際にベッドから立ち上がる時、ご本人の手足が力んでプルプル震えていたのを記憶していて、ベッドに問題ありと考えています。
ご本人が「安全に1人でトイレに行き」、ご家族が「安心して仕事ができる」ように今後も環境整備は続いてゆくのです。それはまたの機会に・・続く・・と思います。

≪今回の初期目標:1人でトイレに行ける環境を整備する≫

初期目標達成のために選んだ福祉用具:楽起YM-103L-ID 楽どめ付・楽起YM-102L-ID 3台・フィットレストⅡ

今回の方は、歩行がある程度安定されていたため手すりを選んでいますが、これが全てではありません。同じ「1人でトイレに行ける環境を整備する」という目標でも、生活の環境や身体の状態によって、杖や歩行器、車椅子など違う福祉用具を選ぶこともあります。

「家のお風呂に入りたい」「近所の定食屋にご飯を食べに行きたい」などなど!〇〇さんの「〇〇がしたい」を叶えるために、今日も福祉用具専門相談員は走ります。

 

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この記事を書いた人 高木仁志
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外食産業に15年従事し、東日本大震災を機に困っている方のお手伝いがしたいと一念発起。福祉業界に足を踏み入れる。プライベートでは、小学生と保育園児の長次男に振り回される、ラーメンが好きなおっさん。
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