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ご自宅での入浴は危険がいっぱい!? ・・・でも自宅のお風呂に入りたい!
2024.1.31

皆さんこんにちは!ライフサポートチームの長谷川です。

今回はご高齢者がご自宅で入浴される際の危険性や注意点から、安心して入浴できるためにどのような福祉用具が利用できるかなどをお話しさせて頂きたいと思います。

ご自宅で毎日入浴が叶わない最大の理由は?

福祉用具レンタルの仕事をし始めた頃、まだ知識も浅い私にはご利用者様があまりお風呂に入れてない事が普通になっているのが不思議でした。

実際、いろいろなご利用様の入浴状況をお聞きすると、週2、3回のデイサービスで入浴している方や、ご自宅での訪問入浴で週1回のみの方、訪問看護やヘルパー介助の下でご自宅のお風呂に週1、2回という方がいらっしゃいました。
もちろんご家族の介助の下で毎日ご自宅のお風呂に入っている方もいらっしゃいますが、多くの方は毎日お風呂に入れていないのが現状です。

先輩からもその事で「自分達は毎日入浴しているのに、ご利用者様は毎日お風呂に入れないのが普通だと思うのはおかしいよね?」と言われた事を覚えています。

 

では、ご自宅で毎日入浴が叶わない最大の理由はなんでしょう?
それはズバリ「転倒リスク」です。
裸になる入浴での転倒には死に至る事故につながる可能性すらあります。

入浴の際の転倒リスクは以下の事が考えられます。

  • 着替え動作  →ズボンや下着の着脱の際に片足立ちになる為、バランスを崩す。
  • 段差昇降動作 →脱衣場と浴室に段差があり、昇降動作の際にバランスを崩す。 段差に足を引っ掛けてしまう。
  • 立ち座り動作 →座面が低い入浴用いすの立ち座りの際にバランスを崩す。
  • またぎ動作  →浴槽へ入る際に浴槽縁に足が上がりきらず、引っかかってしまう。
  • 洗身動作         →洗身の際にバランスを崩す

ご家族と同居されているご利用者様ならご家族様の介助や見守りによって危険を回避する事ができますので、毎日入浴できている方もいらっしゃいますが、お一人暮らしのご利用者様はやはり転倒リスクが高いのが現状です。

〈福祉用具を利用し、安全に入浴できる環境を整える〉

では、ご自宅浴室での転倒を防ぐためにはどうすればよいのでしょうか?

完全に浴室のリフォーム工事をし、バリアフリーの浴室にする方法もございますが、その費用や工事期間はご家族もご自宅のお風呂に入れなくなってしまいますし、いろいろ手間暇が掛かってしまいますね。

その点福祉用具なら、介護保険適用により一部負担のみで購入できるシャワーチェアや浴槽台、浴槽手すりがございます。浴室環境に合わせ、用具を組み合わせたり、一部改修をほどこすことで、安全に入浴できる環境を整えられます。

〈いろいろな入浴用福祉用具〉

上記入浴の際の転倒リスクの中で、浴槽へのまたぎ動作が大変なのでどうにかしたいとのご相談をよくお受けします。

安全にまたぎ動作を行えるようにする場合、私たち福祉用具専門相談員の考える選択肢としては、住宅改修工事で浴室壁面に手すりを取り付けるケースや、浴槽台を購入し、洗い場側や浴槽内に置くケース、浴槽縁に浴槽グリップを取り付けるケース、バスボードを設置し座りながら足を浴槽内に移動させるなどがあります。

しかしそのお家ごとに浴室環境は異なり、最近ですと縁がカーブしたデザイン性が高い浴槽などは、浴槽グリップを取り付けできる場所が浴槽のど真ん中になってしまい、逆に邪魔になってしまう事もあったりと様々です。

 

他にもご病気によりご利用者様の腕や足の力に左右差がある方などは、浴室壁面に取り付けた手すりでは少し遠く、摑まる事ができても力が入りにくいという事もございます。

私共はご利用者様宅の浴室環境やご利用者様ご自身の動作状態を確認させて頂いた上で、ふさわしい入浴用福祉用具を提案させて頂きます。

〈唯一無二の入浴用手すり〉

最近、あるご利用者様宅のお風呂に手すりを導入した事例をご紹介させてください。

こちらはすでに住宅改修工事による手すり取り付けを行なっていたお宅なのですが、壁面設置の手すりだけでは転倒のリスクがあったため、新たにご提案させていただき、追加導入に至ったケースです。

 

元々はご家族様からのご相談は、浴槽へのまたぎ動作が不安定なので浴槽横の壁に手すりをつけたいというものでした。
後日そのお宅にお伺いし、ご利用者本人の身体の動きや浴室環境を確認させて頂きました。

浴室は浴槽を正面にして立つと左側に壁、右側に扉という環境でした。

当初は浴槽に向かって左側の壁に手すりを付ければ、安全にまたぎ動作ができると思ったのですが、ヒアリングをしている中で、浴槽から出る際に扉のノブにも摑まってしまうとのお話しがでてきました。

ドアノブを掴んでしまう場合、左手が壁の手すりに摑まっていたとしてもドアノブを掴んでる右手の動き次第では内開きの扉自体が開いてしまいます。そうなるとバランスを崩し転倒、その上扉自体が転倒した身体に当たってしまう可能性も想像できました。
その事故のリスクをご家族様にご説明し、天井・床・扉側の浴槽縁に固定できる突っ張り型縦手すり【マスカットポールタイプⅡ】をご提案させて頂きました。

入浴補助用具の中の浴槽手すりに属する福祉用具なのですが、浴槽縁だけに固定する浴槽グリップとは異なり、天井から浴槽縁を介して床までの一本の縦手すりになります。

一般的な浴槽手すり写真(左)、マスカットポールタイプⅡ写真(右)

今回の案件では浴槽へのまたぎ動作を安全に行なうために導入致しましたが、脱衣場と浴室の間に少し段差があるため、脱衣場から浴室に降りる際のサポートにもなり、一挙両得です。

O様宅浴室の設置後写真

シャワーチェアからの立ち上がり動作と、立ち上がった後手すりに摑まったまま浴槽への移動(またぎ動作)を安全に行なう事ができました。

もちろん設置条件等もございますので、どのお宅でも利用できる用具という訳ではございませんが、縦手すりになっている事で脱衣場と浴室の段差の昇降や、洗い場で使っているシャワーチェアの立ち座り動作などにも対応できるので使い勝手が良い福祉用具と実感しています。

 

上記の様な手すりや、電動で浴槽に浸かれるバスリフト、浴室用リフトなどの福祉用具を利用する事でご本人様やご家族様の介助負担を軽減でき、好きな時間にご自宅のお風呂に入る事も可能になります。

「週1回の入浴を週2回に、週2回の入浴を週3回に」や「シャワー浴だけではなく寒い時期にはゆっくり湯船に浸かりたい」などのご希望に沿えるよういろいろご提案させて頂きます。

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この記事を書いた人 長谷川幸司
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元旅行会社にて航空券予約や営業を担当。亡父がパーキンソン病を発症し、介護ベッド等の福祉用具貸与サービスを利用。福祉用具を利用する事で出来なくなった事が出来る様になり、介助者の負担軽減できる事に感銘し、この業界に転職。他界した両親に親孝行をしきれなかった分、ご利用者様の手助けをしていきたいと思っています!
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