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はたしてSOELは日本のケア環境・住環境に最適なのか!? ~SOELシリーズ・デモレビュー~
2022.2.24

こんにちは!トランスファーサポートチーム(以下、TST)の栗原です。日本ケアリフトサービス株式会社(以下、JCLS)の新しいリフト『SOEL』シリーズを国際福祉機器展で発表してから早2ヶ月。ありがたいことにたくさんの施設の方々から声を掛けて頂き、デモにお伺いさせて頂きました。今回は『SOEL』シリーズの床走行式リフト、SOEL MXのデモレビューをしていきたいと思います。

床走行式リフト SOEL MXってどんなリフト?

デモレビューの前に、改めてSOEL MXの特徴についてのおさらいからしていきます。
SOEL MXはJCLSが日本の住環境に適したリフトを創るというコンセプトのもと生まれた新しいリフト『SOEL』シリーズの床走行式リフトになります。
おそらく、みなさんが介護用リフトをイメージするとまっさきに思い浮かぶものが床走行式リフトではないでしょうか?そのため、最初に床走行式リフトを現場で試した結果、

重い!

大きい!!

使いにくい!!!

という強い印象を初めて使った人に残してきた実績があることは否めません。そもそも何故、こんな印象が残るのでしょうか?
それは日本の介護リフト、特に床走行式リフトのほとんどが外国からの輸入品だからです。
外国の製品が悪い、というわけではなく、製品開発のときに想定された住環境や文化が異なることが問題なのです。部屋の大きさや入浴に対する考え方など、様々なズレを残したまま導入されてしまうと、そのつけとして上記のような印象が強く残ってしまいます。
そのため、JCLSでは日本の文化、住環境に適した介護リフトを創りたいという思いから『SOEL』シリーズを開発・販売することになりました。この開発秘話は別記事の【インタビュー】日本の介護現場に寄り添うリフト「SOEL」ができるまでを是非御覧ください。JCLSの髙橋社長、開発エンジニアの榮さんの興味深い裏話がたくさん掲載されています。

現場の皆さんにSOEL MXの感想を聞いてみたい!

さて、日本の住環境で使いやすい介護リフトとして開発されたSOEL MXははたして本当に使いやすいのでしょうか?この疑問の答えはすでに床走行式リフトを導入・定着している施設の方々に試していただくのが一番です。今回は横浜市福祉サービス協会の方々にご協力頂きました。
横浜市福祉サービス協会 様は従業員数が常勤1,950人、非常勤2,714人(2021年3月現在:協会ホームページより抜粋)の大型法人でノーリフティングケアの推進に取り組んでいます。毎月一度、桜木町の研修センターでは下元先生のノーリフティングケアセミナーを開催して職員の方々が研鑽をさてており、弊社も機器展示やファシリテーターとしてご協力をさせて頂いております。
(介護セミナーの詳細はこちらの合同会社ナレッジソース 様のHPにてご確認ください)http://knowledgesource.co.jp/

もちろん、こちらのセミナーにもSOEL MXもお持ちして参加者の皆さんに見て頂きました。その縁から先日、同法人の特別養護老人ホーム『新橋ホーム 様』の方々にご協力を頂きました。

これから介護リフトの導入を考えている施設で使ってみる!

横浜市福祉サービス協会 様の特別養護老人ホームの中で『浦舟ホーム 様』は早期からノーリフティングケア宣言を行い、ノーリフティングケアを実践されているご施設様になります。浦舟ホーム 様では介護リフトも導入されており、定着もしっかりされていました。その浦舟ホーム 様より令和3年度から新橋ホーム 様へコアスタッフが異動され、ノーリフティングケアの推進に取り組み始めたところでした。実は夏頃に栗原が訪問してスライディングシートの機器説明を行ったこともあります。在来型の特別養護老人ホームのため4人部屋が多く、カーテンレールとの干渉により天井走行式リフトを導入しようとするとどうしても施設設備の改修が多く必要になる構造をされています。
今回は介護リフトの導入のため、SOEL MXをTSTのエース山下くんがデモに伺いましたので、その時の様子や感想、気づいた点などをまとめていきたいと思います。

デモの中で現場の方々から一番喜ばれた、『旋回性能の良さ』!

新橋ホーム 様はこれから介護リフトの導入を検討されているため、職員のほとんどの方は介護リフトを使ったことがありません。
そのため、まずはSOEL MXの説明、というよりは床走行式リフト全般に共通した特徴・使い方から説明を行っていきました。床走行式リフトは予め動かし方のイメージを把握してから使うかどうかで印象が大きく変わります。現場へ導入したときにもっとも課題になることが床走行式リフト特有の旋回方法・性能になります。私達が旋回する時には当然ながら自分を軸に回ると思います。人力介助の場合も最も効率的に動くために、利用者を抱え上げた場合は自分(介助者)を軸に旋回をします。つまり、私達は日常生活・ケアの中では『自分を軸に動く』という身体の使い方が身についています。しかし、床走行式リフトの回転軸は介助者側ではなく、吊り上げられる利用者側が回転軸になるのです。そのため、無意識に操作をしようとするとうまく動かすことができず、結果として重い・旋回性能が悪い、という印象を受ける結果となります。今回はまず、職員の方々にその点を説明し、床走行式リフトの使い方を把握して頂くところからスタートしました。しかし、実はSOEL MXの大きな特徴である6輪キャスターのおかげで、この点はあまり気にしなくても良くなっています。6輪キャスターの特徴は以下の3つになります。

① 回転軸が中央キャスターの位置になる

② 中央キャスターと吊り上げ位置の重心距離が近いため走行性能が良い

③ 走行性能が良いため、平行移動が可能になる

この『①回転軸が中央キャスターの位置になる』特徴のおかげでSOEL MXはリフトを中心にその場で旋回することが可能です。
すると何ができるのか、というと右の写真のようにベッドの横のスペースが十分に確保ができない環境でも介護リフトの移乗を行うことができるのです。
この点は浦舟ホーム 様から異動されてきた職員の方からも好評で『ベッド横に車椅子を置いたままでも床走行式リフトが使えると思わなかった!』との感想を頂きました。

        

図:このような環境でも・・・             図:SOEL MXなら使えます!

介護リフトなど新しい福祉用具を導入して労働環境を変えることは重要なことです。しかし、介護リフトに合わせて働き方を変えることが現場の反発を招いてしまい、結果としてうまく行かなくなってしまうことを危惧されている方も多いと思います。今回の新橋ホーム 様のデモを通じて弊社が皆様に知っていただきたいことは、今の環境を大きく変えなくとも日本のケア環境、住環境に適した介護リフトがある、ということです。

もちろん、適合しなかったケースもあります。その状況は・・・

ここまでSOEL MXの良い感想を紹介してきましたが、もちろんすべての方々に適合するわけではありませんでした。今回は障害者施設での不適合だったデモ内容もご紹介したいと思います。
こちらの施設で不適合だった理由は2つありました。

ご利用者様が使っている車椅子が横幅が広い機種が多く、入らなかった

トイレのタイルで引っかかってしまうことがあった

SOEL MXは省スペースでの旋回性能を重視しているため、結果として横の幅がそこまで大きくありません。しかし、特に若い障害者の方が使われるオーダーメイドの車椅子は体格に合わせて幅が広い車椅子を使われているケースがあるため、そういう方の車椅子とSOEL MXの組み合わせでは相性が良いとは言えません。また、天井走行式リフトの代わりにトイレの外でご利用者様を吊り上げ、そのまま便座まで移動する使い方をした場合、トイレの床のタイルの目地にキャスターが引っかかってしまい、スムーズに動くことができませんでした。SOEL MXは走行性能と旋回性能が良いことが特徴ですが、それはあくまで平らな床での話のため、タイルの目地などではやはり引っかかってしまい、期待しているほど動くことができなかったようです。また、旋回性能が良い、ということは直進性能が悪い、とも言い換えることができます。そのため、長距離を持ち運ぶときには既存の床走行式リフトに比べてフラフラした印象があった、との感想も頂きました。そのため、残念ながら導入を見合わせることになりました。

福祉用具は『良い ⇔ 悪い』の比較ではなく『適 ⇔ 不敵』の比較が重要!

SOEL MXを含め介護リフトはあくまで福祉用具の一種です。そのため、万能な道具ではないため、良い点に見えたある性能・特徴は見方を変えれば悪い性能・特徴となります。重要なことは導入する現場の環境や考え方と適合している福祉用具かどうか、という評価の仕方だと思います。
そんな中でもSOEL MXは現在の日本の介護現場で床走行式リフトを一度は検討したけれども諦めてしまった方々にこそ、もう一度挑戦してみてほしい、と個人的にも期待している介護リフトになります。日本のケア環境・住環境に適した介護リフトを創りたい、そんなJCLS一同の思いを秘めたSOELシリーズ、是非一度、皆様の介護現場でお試し頂ければ幸いです。

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この記事を書いた人 栗原俊介
福祉用具一筋15年。福祉用具に関する発信を続けていると「マニアック」と呼ばれるようになりました。趣味のロードバイクは自分の身体でシーティングの効果を実感したいことが始めた動機です。
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