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【マニアックが語る】腰痛リスクの見える化ってどういうこと? ~Malpos Major 初体験レビュー~
2021.10.12

こんにちは!トランスファーサポートチームの栗原です。緊急事態宣言も明け、控えていたプロジェクトの再開相談をありがたくも頂くことが少しずつ増えてきました。その中の一つとして今回は福祉プラザ台東清峰会 浅草ほうらい様にご協力を頂いてM.I.S.の根幹サービスであるMalpos Major(マルポスメジャー)のデモを行ってもらいました!Malpos Majorの強みは、なんといってもスタッフ離職の一大要因である「腰痛」の発症リスクを見える化できる点。介護リフト導入によるビフォーVSアフターの数値変化も一目瞭然だから、費用対効果に納得したうえで、介護リフト活用に踏み出していただけるというわけです。理学療法士として働くおふたりの目に、Malpos Majorがどのように映ったか、ぜひご一読ください。

Malpos Major(マルポスメジャー)って何を測っているの?

Malpos Majorはスタッフの腰に巻きつけていつもと同じように働いて頂くだけで、下記のデータを計測することができるデバイスになります。

  1. 前傾回数
  2. 1回の前傾平均時間
  3. 前傾合計時間
  4. 前傾中のひねり回数
  5. 1回のひねり平均時間
  6. ひねり合計回数

これらはすべて腰痛リスクの分析に重要な役割を果たす指数ばかり。前傾は20°以上を1回、ひねりは20°以上の前傾時に左右へ5°回旋することで1回とカウントされます。この回数は時系列に沿って取得されますので、対象者の1日の記録と照らし合わせるとオムツ交換作業の時は前傾回数が多い、記録作業の時はあまり前傾していないなどが見えてきます。つまり、日常生活の中でどれくらい中腰姿勢、またそのままひねる姿勢が潜んでいるのかを見える化することができるのです!

Malpos Majorデモイメージ

スタッフひとりひとりの身体の動かし方が手にとるようにわかる!

浅草ほうらい様では担当者の池村様を中心に機能訓練指導員の方や障害者棟の介護職合計4名の方に合計10日ほど試していただきました。そのご感想をインタビュー形式で紹介していきたいと思います。
インタビューさせていただいたのは、池村さん:理学療法士 / 志垣さん:理学療法士( 非常勤)です。

志垣さん            池村さん 

栗原:今回はMalpos Majorのモニターのご協力ありがとうございました。

池村:いえいえ。手間もかかりませんでしたし、職員も協力的でしたよ。みんなやってみたいって。

志垣:自分の介助動作がどのようになっているかの数字を他の人と比較したいんだろうね。

栗原:デバイスを開発する上でワーカーさんの仕事を妨げる仕様だと協力を得られないため、そこは特に気をつけていました。このデータは回数だけではなく、累積時間なども出るようになりましたけど、事例によってはこちらに顕著な差があったりすることもありますね。

志垣:腰に巻くだけだから大した手間でもないよね。動きを見ると腰痛を持っている人ってなんとなくわかるけど、数字でわかるようになるのはおもしろいよね。

池村:自分で着けてみたけど1日通して200回程度しかいかなかった。自分が想像しているよりも20°以上の前傾が少なかったのは印象的でした。

志垣:この回数って多すぎるだけではなく、少なすぎることも腰痛のリスクがあるよね。腰が痛いから腰痛をどうしたら良いかって時にそもそも原因が違うから、指標が出てくると何をしたら良いかが具体的になってくる。

池村:志垣先生、座った作業多いから着けてみればいいじゃないですか(笑)よく腰痛予防体操を作ってくださいって言われるけど、みんな違う仕事しているのになぁ・・・って(苦笑)

栗原:腰痛がひどい人に激しい体操してもらってもですものねぇ・・・(苦笑)

志垣:前傾回数がこのくらいの人たちの腰痛体操、ひねりが多い人の腰痛体操、などセミオーダーの腰痛体操などができると効果がでやすくなるよね。たとえ同じ回数だとしても何が負担になるかを考えながらやっていると腰への負担が減らせるので、無理がなくなるよね。

栗原:実際、ノーリフトケアに取り組まれている施設の事例だと、日勤帯での回数がすごく少ない職員さんのデータもあります。身体の動かし方から気をつけている職員さんはやはり回数が少なくなる傾向にあるようです。

志垣:それを意識して行うことで回数を減らせるんだ。

池村:(ノーリフトケアが)道具だけではなく自分の身体の使い方にもつながるんですね。

感覚頼みの業務にさよなら。データが出てくると、当たり前が変わる。

栗原:取得したデータを分析すると、左旋回ばかり多い人とかいるんですよね。

志垣:変な話ですけど、回旋の動作って腰に悪いっていうじゃないですか?例えば、米俵なんかを右から左へ、左から右へって持っていく人って両方動くわけじゃないですか。こういう人って腰痛にならないんですよ。バランスが悪いのがダメなんだよね。

栗原:データを後から追っかけるとベッドの配置が右降りばかりな施設だと同じほうに利用者様の頭があって同じ方にしか回旋しない、みたいな事例がありましたね。

池村:個別のケースの分析にも使えるんですね。

栗原:内部データはすごく細かく取得しているので、色々分析できますね。ただ、これってあくまで指標でしかなくて、これを分析してどう活かして動いていくかが大切ですよね。分析する元データを作るって意味では今までにないものかなと思います。

志垣:データ自体が1,000人とか2,000人とか職業別でデータ集めたら面白いデータになるよね。

栗原:JCLS(日本ケアリフトサービス)4社でクラウドに集めてビッグデータ化しているので、事例が集まってくるとだんだん基準値が見えてくると思います。

志垣:そうしたら腰痛のPT(理学療法士)なんていらなくなりますよ。ホルダー心電図みたいに1週間つけてもらって日常の生活上のデータを集めて、それを分析して痛みの要因がわかると生活指導が手っ取り早く行えるようになるよね。よし、なくそう(笑)

池村・栗原:あはは。

志垣:これに本人の体重や性別とかと結び付けられたら、あなたに足りないところはここですよ、ってきれいに出せるよね。

栗原:そのため、Malpos Majorとは別に労働環境のアンケートも作っています。そちらに答えて頂くことでデータの紐付けを行っています。さらに、経営層にオムツの使用枚数が何枚少なくなったか、腰痛が減り労働生産性がどれくらい改善したかなどのコスト比較ができるデータ作りも一緒に行えるようにしています。

池村:そのアンケートですが・・・職員さんから体重入れたくない、って苦情がきました(笑)

栗原:その意見聞いて、必須入力から外しました(笑)これが壁になるならと上司に許可もらいましたよ。

池村:本名も記載の上で経営層にも見えちゃいますからね。

栗原:データがこのように出てくると話が変わりますよね。今まで思い込みとか感覚でやっていたことが変わってくると思うんですよね。

志垣:当たり前が変わると面白いよね。

栗原:そうですね~。アップライドの仕事で一番面白いのはこういう考え方が現場に広がってくることで働く人たちの雰囲気ががらっと変わってくるんですよね。

志垣:今から先ってあらゆる職業でこういうふうになるだろうなと思うよね。

栗原:間違いなく。

志垣:特にアナログでやっていたものをみんなデジタルデータ化して分析するっていう業務をアウトソーシングできるようになって、もう10年、15年すると当たり前がズレてくるよね。

図:クラウド上にアップロードされているMalpos Majorデータの例

プロだけの道具ではなく、誰もが理解して使える道具に

池村:EPA(介護福祉士候補者)とも親和性いいですよね。

栗原:実際、他の施設で良い事例が出ていますね。人の手や経験だと感覚値になってしまうところをリフトやこういうデータは数値化によるマニュアル化ができるため、ケアの標準化・分業ができるようになりますね。私達が提供する介護リフトも、プロだけの道具ではなく、誰もが理解して使える道具に変わってきていますよ。

志垣:技術の使い方がみんなに開かれていくっていうのが正常進化だよね。

栗原:そうですね。これからは職人芸に走ったら難しいですからね。

志垣:その人じゃないとダメって仕事はこれから意味がなくなっていくよね。

池村:なんでも最初はそういう人が始めて、だんだん大衆化されていきますからね。

志垣:介護もそうならないと。職人が幅効かせている業界は衰退しちゃうからね。

池村:高齢化なのに衰退化するわけにいかないじゃないですか。

志垣:だからITやIOTとかもそうだけど道具の力を活かすことは大事です。極端に言えばですよ、配膳なんかロボットでもいいじゃないですか。

栗原:某焼肉店で導入されていましたね。

志垣:仮にロボット1台200万だとしてもシフトを調整する手間や人件費考えたら安いからね。多分半年で元取れちゃうもの。

「離職率が下がる」ことを考えると介護リフトのコスパは悪くない!

栗原:今回のMalpos Majorと労働環境アンケートを組み合わせると現場にどんな課題があるかを抽出することができるようになります。その課題解決にリフトの活用が効果を発揮すると弊社では考えているため、M.I.S.というサブスクリプションサービスを作りました。

志垣:正直、リフトがほしいって施設はまだ少ないと思う。でも腰痛を減らしたい、業務改善をしたいというニーズは多いから、それに対するソリューションのひとつにリフトが入ってくると思うんだ。腰痛などの体調不安って、離職理由の大きな一因だけど、リフトを活用した労働環境改善のデータを把握して、腰痛発症リスクを下げることができれば、離職率が下がりますよね。離職率が下がれば採用コスト、教育コストが下がるから、その差でリフトのコストってペイできるよね、って話だよね。

栗原:まさしく、弊社が言いたいことを志垣さんが言ってくれました!(笑)

 

浅草ほうらい様のMalpos Majorレビュー、いかがでしたか?
このようにMalpos Majorを活用して現場の現状をデータ化することで、様々な取り組みにおいて視野を広げることができるようになります。いま、現場作業で何がネックなのか?それはリフト導入でどのように改善されるのか?現状把握と成果の確認の双方においてデータの見える化を図れるMalpos Majorに興味がある方は是非M.I.S.の導入をご検討ください。

最後になりましたが池村さん、志垣さん、浅草ほうらいの皆様、ご協力誠にありがとうございました。

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この記事を書いた人 栗原俊介
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福祉用具一筋15年。福祉用具に関する発信を続けていると「マニアック」と呼ばれるようになりました。趣味のロードバイクは自分の身体でシーティングの効果を実感したいことが始めた動機です。
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