皆さん、こんにちは!
トランスファーサポートチームの栗原です。
今回は厚生労働省が発表した第14次労働災害防止計画についてのお話です。
この2つのポイントになります。
全産業向けの中の腰痛対策重点業種、それが『保健衛生業』
各施設ごとの独自の取り組みを実施されていはいますが、令和に入ってからも腰痛の件数は増えているのが現状です。
そのため、令和3年9月に厚生労働副大臣から全国老人保健施設協会へ腰痛対策に対して重点業種と考えている要請書が提出されています。
このあたりの情報は『【マニアックが語る】腰痛予防だけではない!介護の新常識『ノーリフティングケア』ってなに?」』をご参照ください
この10年間、医療・介護の現場における腰痛の数が減らなかったという事実を基に、国が本格的に医療・介護現場の労働災害に対して取り組み出すということです。
ケアの平準化がもたらす、もう一つの側面
この方針はもう一つ、介護現場に参入できる労働者の幅を広げることに繋がります。
福祉用具を活用するということは性差や体格差、経験の差によらず、同じケアを提供できるようになります。
つまり、働きたいという意欲を持っている人ならば、年齢などを理由に辞める必要がなくなります。
「施設がノーリフティングケアに取り組んでくれているおかげで、私は今でも働くことができている」
福祉用具等を活用し、人力による介護ではなく、持ち上げないケアを実践することは、「人を持ち上げられなくなっても働くことができる」ということになります。
保健衛生業の仕事は人と触れ合う仕事です。
触れ合う必要はありますが、本来、持ち上げる必要はありません。
現在では、一般企業ですら人材不足が問題となっている中、腰痛などの労働災害に遭遇しやすい介護業界は避けられがちです。
しかしながら、身体的・精神的な負担が少ない場合、この業界で働きたいという希望も存在しています。
国は、これまでの事例から身体への負担が少ない職場への転換を進め、中高年齢の女性にとって魅力的な職場として介護業界をアピールしたいと考えています。
介護人材不足の問題は、2025年問題を始めとして深刻化しており、現在主力となっているベテラン女性職員の就労継続や、新しい就労先として期待される介護業界の需要を満たすため、中高年齢の女性にとって魅力的な職場を提供する必要があります。
そのため、労災による退職を避けるため、特に中高年齢の女性を対象にする文言がトピックスに掲載されたのです。
ご支援いただけますよう、よろしくお願いいたします。
全文に興味がある方は、上記のURLよりご確認ください。
・第13次労働災害防止計画には、「化学物質による重篤な健康障害の防止や石綿使用建築物の解体等工事への対策の着実な実施」という内容が盛り込まれています。現在、アスベスト対策として法整備が進められており、リフト設置や住宅改修を含む工事については、事前調査等の実施・報告が義務化されています。つまり、本計画に記載されている重点対策については、法整備を含めて国が積極的に取り組んでいるということになります。
・労働者の安全衛生対策は、事業者の責務であることが前提となっています(新・腰痛予防対策指針等を参照)。さらに、「費用としての人件費から、資産としての人的投資」への変革の促進が掲げられています。
・計画の期間は、2023年度から2027年度までの5年間です。
・中高年齢の女性を中心にした労働者の作業行動に起因する労働災害防止対策の推進において、『卸売業・小売業』、『保健衛生業(医療・福祉)』が取り上げられています。
・保健衛生業の事業場における正社員以外の労働者に対する安全衛生教育の実施率を2027年までに80%以上にすることを目指します。
・介護・看護作業において、ノーリフトケアを導入している事業所の割合を2023年と比較して、2027年までに増加させます。つまり、ノーリフトケアの実施数が国の達成目標となることを目指します。
・アウトカム指標(施策や事業の成果をわかりやすく表すもの)として、2022年と比較して2027年までに、増加が予想される社会福祉施設における腰痛の死傷年千人率を減少させることを目指します。
・計画の評価と見直しは毎年実施することとします。
・また、高年齢労働者の労働災害防止対策の推進もトピックスで取り上げられています。そのため、エイジフレンドリー助成金(65歳以上の高齢者の就労に関する助成金)などに関しては、制度改正が進む可能性が高いと考えられます(財源の問題があるかもしれませんが)。