みなさんこんにちは!
トランスファーサポートチームの栗原です。
先日、ビッグニュースが入ってきたのですが、皆さんご存知ですか?
なんと、公益社団法人 日本看護協会が次のような文章をホームページに掲載されたのです。
ボディメカニクスだけでは腰痛は予防できません。
労働者の安全を守るという観点で、労働者の腰部への負担軽減のために福祉用具を積極的に活用し、原則として単独での抱え上げは行わないようにしましょう。
患者さんの状態(病状やADL、協力の程度など)に合った補助用具を活用することによって、寝たきりであった患者さんが車いす乗車できるようになったなどの報告もありますので、補助用具の使い方をしっかりと理解し活用することが、看護者、患者さん双方にとってのメリットになるでしょう。
日本看護協会が腰痛予防のためには技術だけではなく、福祉用具をはじめとした環境を整え、看護者・患者さん双方にとってのメリットを考えましょうという声明を掲載されたのです。
つまり、日本看護協会がノーリフティングケアを推奨する声明を出した、というビッグニュースなのです!
医療業界が本気で動き出した?
医療の皆さんの動きはそれだけではありません。
先日、6月24日~25日に新潟県で在宅医療連合学会が開催されました。
ひょんなことから日本褥瘡学会 在宅ケア推進協会(以下、在宅協)の評議員のメンバーとして、褥瘡予防とノーリフティングケアの観点でシンポジウムに登壇してきました。
参加された医師の方や看護師・薬剤師の方など数多くいらっしゃったのですが、有り難いことに強い関心を示して頂きました。
この他にも、在宅協とJASPA(日本福祉用具・生活支援用具協会)のメンバーで構成される「リフトのある生活委員会」でも委員会の名前のとおり、介護リフトの普及のために医療職とメーカー側が協力するような取り組みも動き出しています。
これらの動きは一部かもしれませんが、「医療業界の方々がノーリフティングケア・福祉用具活用に強い関心を示している」とういうメッセージに他なりません。
ただ、これらの動きは『腰痛予防のため』だけなのでしょうか?
私にはそうは思えません。
『腰痛予防のためのノーリフティングケア』が妨げになっている?
最近、知人の理学療法士の方に言われたことがあります。
「ノーリフティングケア、って言葉が本質を伝えにくくしてるよね」
これ、確かにそうだなぁ・・・って感じることがあります。
抱えあげない介護を訳してノーリフティングケア、となりますが、どうしても「介護する側の都合」だけを考えた言葉に取られてしまいます。
介護職の方は特に、利用者さん、患者さんを第一に考える、という方が少なくありません。
そのためか、介護を「する側」のための業務改善は中々モチベーションが上がらないようです。
必然的に、腰痛予防のため=介助者の健康のため、という図式だと現場職員から同意を得にくい、という形になっているようです。
ですが、ノーリフティングケアが介助者のためだけのものではない、ということはアップライドマガジンを購読頂いている皆さんならばご存知かと思います。
この点に関して詳しくは以前に書いたこちらの記事をごらんください。
つまりは、最初に受ける言葉の印象のせいで、大分損をしてしまっているのではないか、ということです。
『生産性の向上』ではなく、『業務改善』として捉えたら?
先日、『JOINT 介護ニュース』の閲覧していたときに次のような記事がありました。
「生産性向上という言葉を国が何度も繰り返し使っている。介護現場の方々とお話をさせて頂くと、その言葉への拒否感のようなものを強く感じる」
石田路子委員(NPO法人高齢社会をよくする女性の会理事|名古屋学芸大学客員教授)はこう問題を提起。
「我々はこうした審議会で介護現場を良くするための議論をしているわけだが、それが介護現場の方々の心に響かなければまずいかなと。
もう少し文言にもこだわった方が良いのではないか」と指摘した。
【中略】
審議会で石田委員はこうした趣旨を踏まえ、「より分かりやすい『業務改善』という言葉を使えば、介護現場の方々もストンと納得して頂けるのではないか。
よりシンパシーを感じて取り組んで頂けるのではないか」と提案した。
この記事を読んだときに、先の項目で述べた理学療法士の方の意見がストンと自分の中で落ちた感じがありました。
言いたいことの中身は一緒です。
ですが、受け手側が聞いたときの印象で届く、届かないが変わってしまうのであれば、それは考えなければならないと思います。
とりわけ、介護職の方々は非常に熱心で、様々な気づきからの行動をされる場面を数多く見てきています。
大切なことは介助者・利用者の双方にとってのメリットを取り組みを提案する側が提示できなければならない、ということです。
実際、国が目指している生産性の向上という目的は私は間違っていないと考えています。
これからどうしても労働人口が少なくなる中で、より高度化したケアを提供しなければならない環境になっていきます。
そのためには福祉用具を始めとした様々な機器を活用することで、より効率よく仕事を行い余裕を作り、その中で利用者と関わる時間を増やしていくことが保健衛生業における生産性の向上ではないでしょうか。
言うなれば、暗算でも行える作業に電卓を導入することで間違いが少なく、より誰でもできる環境にもなり効率もあがるようなものです。
なぜ取り組むのか、実践するとどのようなメリットが双方にあるのか、これらを行わなければどうしてもネガティブな印象になってしまいます。
『第14次労働災害防止計画により、腰痛予防のためにノーリフティングケアに取り組まなければならなくなった』からやりましょう、だとどうしても良い印象を受けません。
より良いケアを提供したいという保健衛生業に携わる方々の潜在的な願い、それを叶えるためにはノーリフティングケアの実践という業務改善が介助者・利用者の双方にとって必要不可欠になっています。
その継続の先には腰痛予防から始まる人材確保・定着の道や、二次障害を始めとした重度化予防に繋がり、社会保険の継続性を高める結果になるのではないでしょうか。
国際福祉機器展(H.C.R.)で皆さんをお待ちしています!
さて、今年の9月27日(水)~29日(金)の間、国際福祉機器展(H.C.R.)が東京ビックサイトで開催されます。
今年も日本ケアリフトサービス株式会社として出展側で参加する予定です。
今回のブースでは新商品の『SOEL MX Air』を展示予定です。
こちらの詳しい内容はこちらの記事を御覧ください。
出展側がこういうことを言うと変な感じですが、良い製品かどうかではなく、皆さんの業務改善にどのような形で繋がるだろうか?という視点でご覧ください。
自分たちの業務改善を行うために何故必要なのか?
この問いかけを是非私達に投げてください。
皆さんの課題の解決や業務改善のために日本ケアリフトサービス株式会社の一員として満足して頂けるよう努めさせて頂きます。